第172章

リリス夫人はたいへん気の強い女性だ。だが、その強さが息子に向けられることはほとんどない。むしろ母としては民主的で、何かあれば必ずユゴスと相談して決める、いわゆる開明的な母親だった。

たぶんそれは、彼女の息子――ユゴスが、ぱっと見では分からないものの、実のところ母以上に頑固だからだろう。

だからグリスナから助けを求める手紙が届いたときも、リリスは即答しなかった。「少し考えるわ」と返したのだが、考える相手は彼女自身ではない。ユゴスだった。

そう、同じく財力にものを言わせられるリリス夫人は、手紙を受け取るなりすぐユゴスへ書状を送り、この件を伝えたうえで、助けるかどうかは自分で選べ、と委ねたの...

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